2014年1月17日金曜日

映画:ベイビー大丈夫かっ BEATCHILD 1987

イオンシネマ板橋(東武練馬)にて『ベイビー大丈夫かっ BEATCHILD 1987』を、後輩の国松と小関と見に行きました(分かる人にしか分からない実名)。

男3人で練馬のイオンのエスカレーターを上がっている時、「地元の友達かよ!」と思いました。

<激短!あらすじダンスホール>
最悪のフェスで、最高のパフォーマンスをしたアーティストと、とても頑張ったお客さんたちの記録。

1987年、当時の日本のロックシーンを牽引するアーティストを集め、熊本の阿蘇で開催された野外フェス「BeatChild1987」の模様を収めたドキュメンタリー映画です。
出演はブルーハーツ、RED WARRIORS、岡村ちゃん、白井貴子、ストリートスライダーズ、渡辺美里、尾崎豊、HOUND DOG、BOOWY、佐野元春など。

このフェスがあったこと自体は、実はうっすら覚えているような気がしないでもないです(年バレ)。特にあのロゴ、なんか見覚えあるんだよな。。
ちなみにこの前後にあった「広島平和コンサート」(?)っていうのは結構覚えてます。
岡村ちゃんと尾崎が『Young Oh! Oh!』いっしょに歌ってたやつ。その映像があったので貼っときます。これ↓

  

なんでしょう、胸がしめつけられますね。

で、この「BeatChild」(涙をぬぐいながら)、夕方18時のスタートから翌日午前6時のエンディングまで、豪雨と雷にさらされ続けたことで「伝説」になったフェスなんだそうです。
集まった観客はなんと公称7万2000人(見た感じ実際そんなにいたようには思いませんでしたが…)。
当然今の日本のようにフェス文化が根付く前。「ロックに悪天候対策など不要」とでも思っていたのか、ほとんどの観客が軽装で参加。豪雨と雷の中、お目当ての大好きなアーティストのライブを体感するために、みなさんぐしょぐしょになりながらがんばっていらっしゃいました。泣

僕も悪天候で「伝説」扱いされている1997年の第一回のフジロックに行った経験があるんですけど、あのときはレッチリ、レイジ、フーファイなど錚々たるメンツを前にTシャツにGパンといった山の天気を完全にナメ切ったカジュアルな格好のオーディエンスに台風が直撃、皆、死ぬ思いをしてました。
「“死ぬ思いした”とか大げさじゃね?」と思われる方もいらっしゃるかもしれないんで、具体的に言いますと、雨具なしで山で豪雨を浴び続けていると、体温が下がってきて、眠くなってくるんですよ。本当に気を付けてください。

しかし、なぜ1997年の僕たちはその10年前の「BeatChild」から何も学ばなかったのでしょうか。なんか自分たちが残念です…。こんなことだから戦争もなくならないのだろう(飛躍)。

さて内容ですが、個人的には若かりしころ(たぶん20歳)の岡村ちゃんの「漲りすぎ」のパフォーマンスを大画面で見られただけでも、この映画を見た甲斐がありました。RED WARRIORSのSHAKEさんと楽屋で話している岡村ちゃんが最高に初々しかったです。

他にもブルーハーツの陽性のバイブス、今と全然変わってないダイヤモンド☆ユカイ、白井貴子の怯え→決意への瞬間(感動的)、スライダーズのマイペースぶり、スクリーモミュージシャン尾崎渾身のグロウル、立てた髪が雨で完全に寝てしまっているBOOWY(布袋のさらさらヘア―)、神がかり的に歌がうまかった渡辺美里、大友康平の見た目、佐野元春の堂々たるステージングなど…。

どのアーティストのライブも見どころが盛りだくさんで大満足でした。

なんていうか、変な意味じゃなくて、音楽的には今ほど「(カッコつきの)成熟」しておらず、「あこがれの洋楽」を無邪気に追いかけていた「キラキラした瞬間」みたいなものが切り取られていて、とてもいい時代だったんだなー(バブル的な意味ではなく)と思いました。

とても貴重な映像を見せていただきました……

が。

この映画。

ナレーションに相当問題アリで。

「豪雨…だが、中止はありえない」とかいきなり理不尽な宣言をするナレーション。
「魂が…足元に…」とか急にスピリチュアルなことを言い出すナレーション。
「ロックの神様は不平等だ…」とか急に「やれやれ感」を出してカッコつけるナレーション。

死者が出てもおかしくなかった(500人が倒れ、病院や緊急の救護室に運ばれたそうです)このイベントを反省し、次につなげていくような第三者的視点が一切なく、ただただ饒舌に、陶酔しながら、過去の悲劇を「伝説」の名のもとに美化していました。

脱力~。

いや、こういった類いのドキュメンタリー(的な)映画が完全に公正で、客観的視点のもとに描かれるべきだ、なんて考えは私には毛頭ありませんよ。ドキュメンタリーとて多分に作り手の主観が入り込む物ですし(Ⓒ森達也)、むしろその方が自然だと思いますし。

まあとにかく今回はそこから発せられる送り手の思想が自分とあわなかっただけという話です。すみません。

このナレーション以外にも、この映画の自己完結ぶりに脱力した箇所がたくさんありましたが、なんか…めんどいので割愛します。書くほどのことでもないし。

アーティストたちのパフォーマンスが素晴らしかっただけにこの点はとても残念でした。

「“伝説”も濫用に注意でござるよにんにん」と思いました。

「でも、アーティストとオーディエンスに罪はないよな!」

と気持ちをポジティブに奮い立たせ、練馬の焼き鳥屋さんで国松と小関(分かる人にしか分からない実名)と飲んで帰りました。焼き鳥おいしかったです。

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