2014年1月17日金曜日

映画:かぐや姫の物語

かんぷーふきすさぶなか、立川シネマシティで見てきました。

<激短!あらすじ絵巻>
『竹取物語』、アニメ化(雑な紹介)

ずぶん(唐突な「あまロス」)、「ラピュタ」をいまだに見たことがないことを理由に、一部の人たちから「非国民」として迫害を受けているほどの「ジブリ弱者」なんですが(世にはびこる「ジブリ同調圧力」にSAY NO!)、今年は夏に『風立ちぬ』を見ましたし(←良かった)、自分としては例年より多くジブリに触れた年となりましたどういう導入だよこれ。

で、この作品。一言で言えば、昔話『竹取物語』を忠実にアニメ化した作品と言えると思います。とはいえそもそも『竹取物語』ってどんな話だったっけ…と、映画を見た後復習してしまったんですが。wiki師匠によるあらすじ


まず分かりやすく惹きつけられたのはアニメーションの美しさ。
水彩画っぽいラフな絵が生き生きと動いているさまに驚きました。特に冒頭のかぐや姫の赤ちゃん期における「はいはい→たちあがる→歩く」の流れをシームレスに描いたシーンや、中盤の「かぐや姫、失意の暴走」シーンは圧巻でした。とにかく絵がすごいので、これだけでも見る価値あると思います。

で、内容のほう。話の筋はなんとはなしに知っていましたが、後味は予想してたよりビターでした。

原作では客観的に語られていた(であろう)かぐや姫本人の心情が、この映画では「あのとき姫はこんな気持ちだったんだよ」って感じでビビッドに表現されていて、昔話が原作とはいえ新鮮な気持ちで見ることができました。

しかしながら、僕はこの映画を見ている間、姫以上に、じいさんの方、つまり竹取の翁のことが気になってしかたがありませんでした。

かぐや姫を授かった竹取の翁は、姫のあまりの美しさや、姫が来てからのツキの良さ(竹切ったら金が出てくるとか)といった要因から、「親のエゴ」を盛大に発揮。一家で村から都へ移住して、姫を「高貴な姫君」として育てる決心をします。村の子供たちのリーダー的存在「捨丸兄ちゃん」はじめ、地元の仲間たちと共に元気にのびのびと暮らしていた姫の人生が、ここから狂い始めます。

姫の地上での苦悩の発端となったこの翁、悪い人では全然ないんですけど、というかむしろいい人で、よく言えば「ピュア」なんでしょうけど・・・まあストレートすぎるほどにストレートに言っちゃうと無知というか浅慮というか、「思いこんだら一直線」で、自分の信じたことに1ミリも疑いを持たない「他者不在な感じ」が、見ていてなんとも居心地の悪い気持ちになりました。人の幸せを願うあまり、その人を縛り付けていることに気付いていないんですよね。「もっと多様性を認めてあげて!」と思いましたが、まあ時代的に「多様性ってなあに」という社会なのでしょう。村出身でありながらも都に執着する感じとかも含め、意外と現代にも通じるリアルなところを突いているような気もしました。

そしてこの翁のエゴは、かぐや姫が月(天上界)という穢れのない世界に生まれながらも「とり、むし、けもの、くさき、はな」の世界、つまり地球や村という、「穢れの世界」で暮らすことを強く望んだこと(いってみればこれもエゴ)との対比になっているのかなーと思いました。

「姫の犯した罪と罰」(この映画のキャッチコピー)ならぬ、「翁の犯した罪と罰」があるとすれば、罪は都へ移住しステータスを求めたこと、罰はその結果、かぐや姫を失うことでしょう。ちなみに、都で5人の高貴な求婚者たちが姫から「私と結婚したければ財宝を取ってこい!」と難題を吹っかけられるも、姫欲しさにズルや無茶をしてそれぞれしっぺ返しを受けるエピソードも同じように、「エゴの末路」の切り口で語ることができそうです。

というわけで、この映画は(というか『竹取物語』は?)あらゆる「ないものねだり」にまつわる因果応報の話と言えるのかもしれません。ただ、よく考えると、姫の憧憬の対象たる「捨丸兄ちゃん」だけが「ないものねだり」の報いを受けていないような気がするのですが…それは考察の余地を残すところでしょう。(投げっぱなし)

片側から見たら不浄に見える場所かもしれないが、片側から見ればそここそが生きる場所であるとか、そこで生きることを望んで何が悪いのだろうとか、しかしながらここで言う天上界みたいな「圧倒的な世界」がときに強制的に執行する力(それは場合によっては「暴力」と言い換えられるかもしれない)には、結局は抗えないのねという無常感とか、「出自」の持つ宿命性とか、「意外とこの話、深い!」と思いました(馬鹿の感想)。

あとは、山村の職人たちの描写が面白かったり、宴のシーンで都の人々が動く図が「なんか昔教科書で見たことあるような有名な絵」を元にしてるような気がしないでもなかったり(曖昧すぎ)と、民俗学的な視点からも楽しめそうな感じでした(適当)。

あ、あと。最後の最後、ちょっと『2001年宇宙の旅』のラストっぽかったよね?(賛同者求む)

とりとめなし。

以上!
かぐや姫の物語の場面カット画像


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